2011/07/27

消えゆく学会

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7月23日に開催された 消えゆく学会 の個人的なメモ書きです.
講演内容とニュアンスや内容が異なる恐れがあります.参照される場合は以下のような他の情報源もかならずご確認ください.

Togetter - 「消えゆく学会 〜問い直される学会の役割と社会との関係性〜」

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武田英明さん(国立情報研)
■「所属学会」が自己紹介になる.(専門性の表現,アイデンティティ)
■学会の歴史としては,科学者のコミュニティと技術者の寄り合いがある.
■科学者の社会貢献の二面性
・科学者としての中立的な助言
・学会(社会に対する科学の代弁者)構成員としての合意した科学者の声
■世界の動向
・ジャーナル:ブランド化(寡占化),オープンアクセス(情報はフリーに).
・カンファレンス:増える傾向,囲い込みもおこる.
■役割の分化
・社会的責任を果たす学会.
・同好会学会.

コメント
■学会への企業の参加が少なくなっている = リターンが少なくなっている,ということではないか.


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神嶌敏弘さん(産総研)
■Web上の学術情報
・ACM Digital Library
・Project Euclid
・寡占化のメジャープレーヤー:Springer,Elsevier,
・プレプリントサーバ
・書誌情報DB(Google Scholarなど)
・会議のIFを計算するMicrosoft Academic Search
・会議の発表をストリーミング(videolectures.net)
・会議案内を掲載するWikiCFP
・Scholarpedia:招待された専門家が記名で編集するWiki辞書
・国際会議の運営を簡単にしたシステム(Easy Chairなど)
・Tewitterはまだ発展途上(アナウンス程度,ビッグネームはやってない,議論してるのとか見たことない).
・Blogは熱心にやられてたりする.
・機会学習の分野では,MLJのEditorial Boardから有力研究者が大量辞職(読むのが有料,掲載まで遅い,など文句があったため).かわりに無料オンライン誌JMLRの創刊.
・Peer Review の公平性,負担軽減
・Webが発展しても,概念としては固まっているが言葉としてあらわせないようなものは検索できない.そうした情報を得るのは,学会や論文が最適なのではないか.


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木村忠正さん(東京大学)
■disciplineとassociationからとらえる
・disciplin:探求の過程.
・association:人々を横につないで補完する場・機会.
■日本社会情報学会はふたつある(しかも登録日が同じ)
■制度科学:"まさに「科」にわかれた「学」"
■現状の問題:Multiversity
■生産するときは組織が活発,交換するときは市場が活発.
■disciplineが何かはdisciplineが再帰的に定義していく.
■組織というローカルが意味をもっていた社会が変化してきた.

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植田憲一さん(電通大)
■アメリカの学会は,いかに世界制覇していくかを考えている.
■「公益」の考え方が米国と日本でだいぶ違う.あちらでは,学会が利益を出すのは当然.こちらでは,儲けてはいけません.学問をやっているということ自体で社会に貢献するべき.それ以外はプラスアルファ.
■学会で「これは言えません」は良いのか?
■日本の学会は世界でもっとも組織され,社会に開かれた存在として社会に貢献してきた(博士号をもたない学生が発表をするのは日本くらい).
■一般社会は,悪貨が良貨を駆逐する.しかしピアレビューは.良貨が悪貨を駆逐する.
■これがテーマだ,と選択した時点で研究の価値が決まる.あとは結果を伝えるだけ.


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山川宏さん(富士通)
■研究環境の変化:Gibbonsのモード論,ZinmanのCudosからPlaceへ,ポストアカデミック科学.


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パネルディスカッション
■学会の生産物のうち最も価値のあるものは人材.そしてそれはなくなって初めて理解される.
■Journalの価値は評価すること.評価したものを回すのは別な部分に任すのが良いのでは?
■自分は人類の知を代表している.レフェリーが認めないなら,それは人類の知に反しているとして戦わないといけない.
■研究者の価値をきちんと測れる仕組みはウワサ.しかし日本の問題は,論文発表数などの定量性をひっくり返せないこと.
■結局,研究者が何を選び取りたいのかが重要ではないか.

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