2011/11/27

想像力より高く飛ぶ

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このBlogのタイトル「想像力より高く飛ぶ」に込めた意味を書いてみます ※1

まず,生きている限り,人は選択を重ねるものだけど,選択それ自体は本質ではない.
選択の本質は,想像するというところにあると思っている.

起こり得る可能性を想像して,それに対する自分の行動 (選択) を想像し,その結果起こり得る可能性を想像して…
ときにはハイな気分や苦しい想いを通り抜けたりして.自身の選択の結果が内的・外的にどのような影響をもたらすことになるか,それを考える想像のループを回す過程が選択の本質であって,選択それ自体は,確かに目立ちはするけれど,やっと最後に表れ出された結果にすぎない.


そして,この想像を含む選択という行為によって,私は私であることができる.
無限の可能性の中から,選び取り,捨てるもの,それらが私を浮き彫りにし,私に私であるという個性を与えつづける.
もし,取るものも捨てるものも,何も選ぶことができなかったら,私が私という存在であることは困難になる.


こうしてみると,想像できないもの,は非常に恐ろしいものに思えてくる.
想像さえできれば,選び取ることも捨てることもできるのだけれど,想像できない限り,それは選択の対象にのぼることすらなく,そこに,私は,決して存在できない


だから,自分の想像できる範囲を何とかして広げることが,決定的に重要だと思った ※2
つまり,自分の想像力よりも高いところから世界を見渡そうとすること.
そんな想いをこめて,「想像力より高く飛ぶ」という名前をつけたのでした ※3



※1 でもやはり,とても抽象的になってしまった…
※2 最近はちょっと考えが変わってきたりしているのですが.
※3 寺山修司の「どんな鳥も想像力より高くは飛べない」という言葉が念頭にあります.

2011/11/19

ルーティンな生活 (あるいは 収束と発散)

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内田樹さんの『最終講義 -生き残るための六講』という本に,以下のような文章がありました.

僕がルーティン大好き人間であるのは,ルーティンそのものが好きだからじゃないんです.そうじゃなくて,ルーティンを守って暮らしていないと,絶対に「アカデミック・ハイ」は訪れてこないということがわかっているからなんです.

これまでなんとなく感じてきたリズムみたいなものが,うまく文章化されているような気がしました.
私自身も,自分の生活をルーティンに保っていないと,うまい具合にパフォーマンスをあげられないことが多いように思います.それは,食べるものであったり,朝起きる時刻であったりします.
お昼においしいものを食べに行ったり,プライベートで人とゆっくり話をしたり,そういう贅沢をすると,なんだか心が落ち着かなくて,ふわふわしているうちに一日が終わってしまう,そんなことがよくあります.また,特に睡眠時間は重要で,明確に緊急な要件でもない限り,睡眠時間が足りなかった日は,ほとんど集中できずに時間が流れていきます.

でも,決して,それらの「非ルーティン」なことが必要ないと言ってるわけではないですし,それらがあったほうが,より一層わくわくどきどきできるようなときもあります.

この違い,どこから来るのかと考えて,自分自身のリズムとの対応が重要なのかなと思いました.
何かの目的を達成しようとしていたとして,最初インプットを重ねているとき,意識が内側に向けて収束しているような感じになります.この段階ではたいてい,生活がルーティンなほうが効率が良い.
しかし,ある程度たまってきたインプットをアウトプットに変換していくときや,いちばん最初にそもそもどういう目的を設定するか考えるようなとき,意識が外に向かって発散していくような感じになります.この段階では,「非ルーティン」によってリズムが撹乱されると,かえって面白い結果を出せるようになることがある.

本には,以下のような文章もありました.

自分の知性が最高の状態にないことに,空腹や眠気や渇きと同じような激しい欠落感を覚える人間だけが,知性を高いレベルに維持できる.

私にとっての「高いレベル」が本当に高いレベルなのかは定かではありませんが,こちらもなんとなくわかるような気がしました.
ごくまれに訪れてくる「アカデミック・ハイ」のわくわくどきどきした状態のためなら,「変化のない生活」も別に苦ではなくて.いや,苦とかそういうものではなくて,プロセスの一部である,とそんなことを思うのでした.

2011/11/01

やるべきことが見えてくる 研究者の仕事術

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やるべきことが見えてくる 研究者の仕事術』 (島岡要, 2009年, 羊土社) を読んでの感想です.
全体の印象については,以下のようなエントリに (私の感想が蛇足にしかならないほど) 非常に的確にまとめられているので,ここでは印象に残った部分の抜き書きを.

プロフェッショナル根性論 - 書評 - 研究者の仕事術 (404 Blog Not Found)
研究者の仕事術 - 「いかに働き、いかに生きるか」 (Leo's Chronicle)
やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論 (発声練習)

「好き」よりも「得意」にこだわる

專門バカに陥らないようにするために大切なことは,専門領域以外の知識を深めることではなく,自分の専門性を深める過程で普遍性を見失わないことなのです.

時間管理

あなたが成し遂げた10の業績のうち上位2つが,あなたの評価の8割を決める (ブライアン・トレーシー).

たとえ困難でも最も重要な仕事に最初に取りかかるべきです.そうすればたとえ時間切れになっても達成できずに残るものは重要度の低いものであるはずなので,あなたのトータルな評価に対するダメージは,重要度が高い事柄ができなかった時に比べずっと小さいはずです.逆に手がつけ易いという理由で簡単でも重要度の低い案件から始めるというのは,最も重要な案件にかける時間を失ってしまう可能性が大きく,対費用効果の点からはおろかな選択ということになります.

重要であるが緊急でないことをできるか?

成功している企業では時間の65%を領域-Ⅱに充てている
領域Ⅱ: 重要だが緊急でないこと

建設的なフィードバックの与え方

オピニオン (意見/コメント) ではなくアナリシス (査読と評価) を.

創造性とは

創造性とは誰もできないような斬新な考え方をする,他人とは質的に異なる「ユニークな能力」ではなく,必然的に起ころうとしている発見を誰よりも早くつかみ取る「効率のよさ」のこと (ロバート・K. メルトン).

変化に対する苦痛・恐怖

John McCain 勇気とは恐怖を感じないということではない.勇気とは恐怖を目の前にしてなお行動できることだ (Courage is not the absence of fear, but the capacity to act despite fears.)

おすすめのTED



とにかく素晴らしい本です.