2011/05/24

子育てにはコストがかかる

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先日,「治部れんげ氏講演会 共に歩む未来のために 〜男性研究者・学生のための共同参画〜」に参加してきました.

講演のことは,

共に歩む未来のために 〜治部れんげさん講演会。盛会でした。(けやきのき)」

イクメンを目指す男子向けの講演@東大に行ってきたよ 〜治部れんげさん「男性のワークライフバランス」〜(kobeniの日記)」

フェアな人ほど大変?~治部れんげさん 講演会(外資系IT企業につとめる男性社員の育休日記!)」

などにまとまっていますので,ここでは特に私の印象に残ったことを書いてみようかと思います.


それは,子育てにはとてもコストがかかる,ということ.


実際に子育てをされている方からしてみればあまりにも当然のことなのかもしれませんが,今回の講演でそのことがある程度理解できたように思います.
男性または女性とそのパートナーが一緒に暮らしているだけなら,行動の自由度もそれなりにありますし,出費や必要な住空間もふたり分で済みます.しかし,そこに子育てが加わると,まず,いちばんの弱者である子供に生活リズムや行動をあわせる必要があり,また,子どもが増えるほどお金や空間もたくさん必要になってきます.そして,子どもの生活リズムと相容れないペースで動いている社会と交渉し,柔軟に子育てと生活を続けていくためのコストが生じます.

このコストはやはりとても大きなものなんだなあというのが講演を聞いての印象です.それがゆえに,講演で話があった以下のようなことが起きるんだろうと思いました.

・妻に対してフェアな(家事や育児のコストを妻とシェアする)男性は,まったく家事をせず仕事により多くの時間を割く男性との社会的な競争において不利になる.

・「女性にやさしい」と言うことと,実際に自分のパートナーに対してそのように行動することは,フィギュアスケートを見るのとやるのくらい違う.


ほかにもいろいろ得るところの多い講演会でした.
・"配慮"よりも公正な処遇を.
・能力がある人は個別交渉で勝ち取ることができるが….
・子育ては,生物学的には生産なのに対し,現代の資本主義社会においては消費であり,齟齬が生じている.
などなど.


霊長類のなかでもヒトは特にユニークな生活史をもっており,そのような性質がなぜどのように進化してきたかは,人類学においても古くから注目されてきたテーマのひとつです.この性質と現代社会の生活環境のあいだにどのような齟齬が生じているのか,もっと具体的に知ることができたらおもしろいなと,そんなことを考えたりもしました.

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